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2014年9月29日 (月)

shinzeiの晴耕雨読日誌(1299)簡単に憲法と法律を語ろうとすれば?

 

 みなさんこんにちはshinzeiです。

 

 私は昔このブログで「日本国憲法を使いあぐねている日本人は、自分の学力レベル以上の参考書や問題集を理解できない学生のようだ」と述べました。今でも私はそう思っています。

 

 確かに日本国憲法は、1940年代の水準、いや現代の水準でも相当高度で民主的な憲法だと思いますし、もし近い将来憲法改正を決めたとしても新しい憲法は日本国憲法の理念を活かす形で改正乃至再制定されなくてはなりません。

 

 しかし、日本では一回も憲法は改正されていません。その理由は、単に憲法どうするべきか最終的に決定する立法機関の怠惰でしょうし、そんな憲法に興味を持たない日本国民にもその責任があるのが明白です。

 

 日本国憲法は、憲法学者などの言葉を借りれば〝硬性憲法〟と言われています。この意味は簡単に言えば「簡単には改正が出来ない」と言う意味で現に日本国憲法はそう簡単には改正できないように作られています(改正には国民投票と厳密な議会の審議を要します)

 

 別に日本国憲法が〝硬性憲法〟だからと言ってそれが改正賛成派に主張されているように「他の国は現実に合わせて憲法改正をしている。だから日本国憲法も日本社会の実情に合わせて変えていく必要がある」という事には繋がらないと思います。アメリカなどは日本より憲法改正が難しい(アメリカの場合、更に50州の州議会の議決が必要になります)ですが、憲法は改正されています。少なくともアメリカよりかは憲法改正が簡単であるはずの日本で憲法を変えていなかったのは理由は簡単で、単に憲法改正の必要が無かった、と思われていたのか、それとも憲法改正なんて面倒臭いと放っておいたとしか思えません。

 

 代わりに今まで政権党は、憲法自体を改正する事を避け、憲法の解釈を変更して憲法を実質骨抜きにして行きました。卑近な例で言えば憲法第九条と自衛隊の関係、そして集団的自衛権との関係がありますが、他にもかなり深刻な話として選挙区によって一票の重みが変わってしまう一票の差の問題があります。これは例えば人口の多い東京みたいな選挙区の一票が、人口の少ない地方の一票と違い後者の方が重みを持ってしまい後者の選挙区の方が前者のそれよりも実質少ない投票で当選してしまうことです。この一票の格差も最高裁で衆参両院に対して「違憲状態だ」とされています。

 

 簡単に言えばもう日本国憲法は、日本人には使いこなせない憲法であると言う事は明白です。別に日本人をバカにしているつもりは毛頭ありませんが、所詮アメリカ占領軍(GHQ)の実質的な押し付け憲法であり、日本人の民族的能力では順守できない条項もあるこの憲法は矢張り使いこなせないでしょう。

 

 最早日本人に残された道は憲法を改正して(現実的にアメリカより改正が簡単な規定になっています)より日本人に合う憲法を作るしかないでしょう。一刻も早い国民や国家挙げての憲法論議が持ち上がる事を望んでいます。

 

 今日紹介したい本は、憲法学者が少女タレントを相手に憲法論を教える、と言う形で日本国憲法の意義やその構造、そして問題点を分かりやすくまとめた本です。私も「え?タレントが憲法なんて理解できるの?」と思いましたが中々このタレントさんは物覚えのいい人らしく憲法について可也理解しているようでした。

 

 『憲法主義 条文には書かれていない本質』 内山奈月 南野森 PHP研究所 2014年7月29日

 

 です。内山奈月、と聞いて「ああ彼女ね」と分かる方は相当なAKB48のファンでしょう。現に私は「誰だそれ?」と思いました(そもそも私は芸能界と言うのは嫌いで無知です)「どうせ馬鹿タレントが護憲論者で左翼の研究者に騙されている本なんだろうな」と思って期待せずに読み進めると、いやあ、実に中々、よく書かれた本だと思いました。私はこの内山氏と言う人がどういう人だかは全く知りませんが、少なくとも本を読む限りでは可也の下地を持っていて、理解力もある女の子だと思いました(ただし、この本が本当に彼女がそう言った事をきちんと書いていれば、という条件が付きますが・・・)

 

 また、この南野氏という憲法学者も、日本国憲法の構造や、その本質をきちんと理解しており、この二人の対話は実に的確に行われています。

 

 この際ですが憲法と言うものを規定するとしたら、それは「国家に行動の制限を与えるための基本マニュアル」と言えばいいでしょう。ですから憲法は簡単に変えられてはその意味が無いので可能な限り改正に厳密な手続きが要る〝硬性憲法〟であるべきでしょうし、憲法は全ての法律の上にある〝最高法規〟でなくてはならない、と言う事も納得できました。

 

 また、安倍政権ではなくその前の歴代政権も行っている解釈改憲の危険性も指摘していて、また、この学者の正しいところとして「分からない所は分からない」とはっきり法の限界と言うものを話しているところです。ともすれば憲法を崇拝しているちょっと頭のいかれた左がかりの学者とは一線を画しています。

 

 また、受け手の内山氏も良く理解しているようで、例えも上手に使われていてその点憲法なんて分からない、と言う人もすんなり読めるようになっています。私は法と憲法の関係がこの本でよく分かりました。

 

 しかし、少し首をかしげる記述が無かったわけではないので指摘しますと、75ページで「ルイ十六世がベルサイユ宮殿を作ったと誤解される記事がありますが、これは実際は彼の祖先であるルイ十四世が作りましたし、116ページには「直接選挙制をとっている国は無い」と言っていますが、実際には小国では行われているそうです。

 

 まあ、そんなミスを除いても、この本は取り敢えず憲法や法律を知りたい、と言う人にとっては当にうってつけの本だと思います。特に高校生で、これから法律学部に入りたい、と言う人には入門書として、そして法律を学ぶモチベーションを付けるために読まれると良いと思います。

 

 Shinzeiでした。

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コメント

こんにちは、『憲法主義』の著者です。

このたびは、過分なお褒めの言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。勝手ながら、ネットやメディア上での『憲法主義』についての書評等を集めておりまして、 shinzei さんのこのエントリーも、その一覧表に加えさせていただきました。どうかご了承ください。

さて、一点だけ、本書75頁の、ベルサイユ宮殿がルイ16世によって建てられたかのように読めてしまうというご指摘の箇所ですが、改めて読み直してみまして、shinzei さんの仰る通りだと思いました。何度か見直したはずですのに、お恥ずかしい限りです。増刷の機会がもしあれば、ここは文章を、たとえば「国王ルイ16世は、パリから少し離れたベルサイユに造られた大宮殿で豪華な暮らしをしていました」というように、修正したいと思います。

「どうせ馬鹿タレントが護憲論者で左翼の研究者に騙されている本なんだろうな」という予測は、きっと多くの方がお持ちになっているのではないかと思います(笑)。きちんとお読みいただいて、その予測が外れたと評価して下さったことは、本当に嬉しく思います。

どうもありがとうございました(ついでに拝読させていただいたのですが、マリーアントワネット本についての次エントリーも、とても勉強になりました)。

九州大学法学部
南野 森

おはようございます南野先生

昨日は貴重で過分なコメントありがとうございます。
少しきつい事を申し上げてすみませんでした。
憲法問題は私も教職課程で憲法を履修しましたので関心があります。
改正するべきなのかするべきでないのかは分かりませんが
先生の本で世の中の皆さんが関心を持たれる事を望んでいます、
では。
shinzei拝

おはようございます南野先生。
先ほど私は「憲法改正すべきか否かは分からない」と申し上げましたが、
矢張り考え直してみれば、より日本人に合った形の憲法を作るために
改正をすべきだ、と思いました。
やはりあの憲法は基礎的な部分はGHQが作ったもので、日本の実情に
合わない部分もあると思います。
勿論9条の平和規定を明らかにターゲットにした自民党改正案は承服できませんが、
他の部分の改正は必要ではないかと思いますが・・・。
では、
shinzei拝

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